親に勝てる教師はいない

      2016/07/11


私が教師として多くの子どもたちと関わってきた中で、

最も助けたくて、いつも力になれない子どもたちがいます。

それは、自分の家に自分の居場所が無い子どもたちです。

私は教師となることで、

当たり前のように思っていた自分の家族が

どれだけ特別で、恵まれているのかわかるようになりました。

私の父は地方公務員で、母はパートタイムで働きながら3人兄弟を育てました。

家族の中で両親が怒鳴る声は聴いたことがなく、

暴力も見たことがなく、

どちらかが浮気をしたという話も想像するだけバカバカしいような、

堅実さと誠実さを絵に描いたような家庭で過ごしました。

両親に、「お前を愛してる」という言葉を聞いたことは一度もありませんが、

自分は両親に愛されているということを十分に認識して育ちました。

しかし私が教師になってみると、

「今日はお母さんの彼氏がいるから自分は家に帰れない。」

そんな言葉が、今では何の驚きもなく聞けるような日常になりました。

私が中学生だったころ、自分の容姿について学校の女子たちにバカにされたことが直接のきっかけで、

私は自分自身を傷つける行為をしたことがありました。

中間試験の前だったのですが、

父は単身赴任のため不在で、母は少し動揺しつつ、慣れない運転をしながら夜の病院へ連れていってくれました。

幸い大事にはいたらず、

 

母は帰り際に、

「親は生まれてきた子どもがかわいくなかったからと言って、捨てたりするだろうか。」

と、涙ぐみながら、静かにつぶやきました。

 

 

その言葉は、今でも私の心の奥底に響き続けています。

今は自分自身が教師として、

どんな子どもでも受け止めよう。自分の力の限りの支援をしよう。

そのような覚悟を持ち、そのような姿勢で子どもと接するように心がけてきました。

 

子どもは特別なアンテナのようなものを持っているようで、

吸い寄せられるように愛情に飢えた子どもたちが私のもとに集まってきます

 

毎年毎年、必ず同じことが起こります。

自分を受け止めてほしい、認めてほしい、一緒にいてほしい、

そういう思いを向けられ、時には恋人の役割を求められることもあります。

兄の役割を求められることもある。親しい友達を求められることも。

父親を求められることも当然あります。

自分自身が2人でも3人でも10人でも100人でもいたら、

この子たちのために人生を生きれるかもしれないのに。そう思うときさえありました。

 

それでも、教師はあくまでも「みんなの教師」でしかないのです

「誰かのためだけの教師」になることはできません。

 

極端な話、教師を辞めて1人を引き取って自分が責任を持つということはできるかもしれませんが、

それは自分のやりたいことではないのです。

公平さを欠く場合、、教師としての線を超える場合、、

いろんな制限がある中で対応する限り、

私が母から受けた無条件の愛に匹敵するだけの愛情など、

到底注げるはずがないのです。

 

愛されることを求めるのは、子どもだけではないのだなぁ

お父さん、お母さんもまた、男として、女として、人として、誰かに愛されることを必要としているのだなぁ

居場所なく不安定に揺れ動く子どもたちを見つめながら

そのようにため息をつくことが多い日々です。

 

教師としての願いは、

子どもと両親が同じ家に住み、一緒にご飯を食べ、朝の「おはよう」と、寝る前の「おやすみ」

を当たり前にできる家庭が、当たり前になることです。

 

最後に、私の母が教えてくれた万葉集の一句を紹介してこの記事をしめくくろうと思います。

高校で古文の先生に教えてもらったことを今でも忘れない、と今年還暦になった母が、

感謝の手紙を送った返答に教えてくれました。

 

「銀も金も玉も何せむに、優れる宝子にしかめやも」

 

どんな宝物も子どもには及ばないと歌った、千年も受け継がれる誇るべき日本の親心ではないでしょうか。

 

 

 

この記事を書いた人

とーきち
中堅現役高校教師。 日夜を問わず教育現場で奮闘中★

都会より自然が好き。
回る寿司より回らない寿司が好き。

 -子育て, 家族日記, , , , , ,

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